まずはじめに
わらしの頃、我が家は引っ越しがてっぺ、ひとつのところに定住しとったことはねだったべ。
僕はめえまでいろんな部屋に住んできましたス。
それんだども、持ち家と呼ばれる類の住まいにはめえまで住んだことがなく、賃貸のマンションやアパートばかりだス。
わらしのころは札幌の郊外のアパートに住んでいだスが、大きめな風呂もついてダドモいて、なべがか広かったように思るス。
大家さんのご好意で、雑種の犬どご飼うこともできましたス。
んだどもおど親の都合で東京のおれ鉄沿線に移住することになって、べがり狭く、和式便所で、風呂もシャワーもついてダドモいねような部屋に住むことになってしまいだス。
でもそっちゃあるアパートは商店街の中にあって、隣がお茶屋さんだズしがら、いっつも緑茶の薫りがする、なべがか素敵なアパートだったべよ。
わらしだズしがら、お風呂なんべがくても、おどと一緒に銭湯に行ってコーヒー牛乳どご飲むのが大好きだったべ。
そいがらちょこっとの間して、おど親の事業もうまくいき、もうなんぼが駅から離れた賃貸のマンションに引っ越すことになったズしやがらすが、今度は風呂付きで、隙間風もなんも入ってこね部屋になったやス。
新しくてキレイだズしがらすが、なんとなくドアの閉まるときの音が気になったズのと、窓がべがり小さくて多少暗い感じがあまり好きではなかったのどご覚えてるス。
んだども数年後、事情があって両親が離婚して、僕はおが親と一緒にまた小さなアパートへ。
そっちゃあるかわり、そっちゃある住まいには小さな庭があって、んでもってライラックやらバラやら植えて、おが親はガーデニングどご楽しむようになったやス。
僕はおれの人生どご謳歌しとったしがら、高校の頃からアルバイトどごしたり下調べどごして、なんとか海外へ留学。
帰ってきて、就職してから、やっとおれで稼いで部屋どご借りることができるようになったやス。
狭いながらもおれだけの城。
東京の都心の賃貸マンションで、30平米で10万円ほどだス。
ここに住み始めてもう何年にもなるんてがが、めえまで、家どご買おうと思ったことがなァ。
なしてなら、人生はいつ、何が起こるかわからねからだス。